その後の話
あとがきと小話
「そういえばあんたの苦悩とやらを聞いてなかったわね?聞いてあげる」
「・・・僕はプリムが幸せならそれでいいって思ってたんだ。だから自分からプリムに、その・・・自分がプリムとどうこうなりたいとか、
そういう風に思ったことあるけど、それをずっと否定してきたというか」
「・・・なんで否定してきたの?」
「僕の中でもディラックさん、ていう存在は大きかったんだ。ああ、この人には一生勝てないだろうなって。ディラックさんはさ、
自分の命を懸けてまでプリムや世界を守ろうとして、挙句には最期の最期で君のことを僕に託すんだよ?」
「・・・・・」
「僕には出来ない。自分の恋人を好きかもしれないような男に託すなんて・・・だってプリムの側にはエルマンさんもいるし、パメラだっているし、
他にも君を支えてくれる人なんていくらでもいるはずなんだ。でも、彼は僕に頼んだんだ。プリムを頼んだよって」
「・・・うん」
「その時にさ、自分の気持ちなんてどうでもいい気がして。ただ、プリムを支えていけばいいじゃないか、て。それ以外は考えないようにしよう、そう思った」
「・・・うん、そっか」
「これが僕の悩みです。仕様もないって思うだろ?」
「ちょっとだけね。ランディは変に気を使いすぎるのよ」
「そうかな」
「気持ちはありがたいけど、私だって自分で幸せになろうとする活力ぐらいあるんだから」
「ふふ・・・強いなぁ、プリムは」
「ジェマにも言われたけどね、女って強いのよ」
「そっか、肝に銘じておくよ」
「けど」
「?」
「私も人のこと言えないかな。長い間なかなか素直になれなかったし・・・」
「何の話?」
「何でもないわ」
「プリム?」
「あ、そういえば私に何か話したいことあったんでしょ?昨日、尋ねてきたみたいじゃない!」
「ああ・・・えっと、マナの調査の件なんだけどさ」
「うんうん」
「神獣の欠片の雪、覚えてる?あれがさ、実はマナの力を持っていて、そのまま世界の大地に根付いたんだ。だからこの世界から完全にマナが消えたわけじゃない」
「!それって・・・・」
「うん、ポポイに会える可能性だって絶たれたわけじゃない。マナを回復する神獣はいなくなったけど、神獣が自身の欠片にマナの力を持たせて、
世界に降り注いだことには意味があると思ってる。簡単なことじゃないけど、僕は諦めない」
「チビちゃん・・・元気にしてるかな」
「きっと元気にしてるさ」
「ね、今度二人で四季の森に行こうよ!」
「・・・そうだな、ポポイに会いに行こう」
「じゃあ、次のランディの休暇の時に行こうよ!次の休みはいつなの?」
「え・・?どうだろ・・・今回の件で結構休暇貰っちゃったからなぁ〜暫くはタスマニカで働かなきゃいけないかも・・・・」
「えーーーーー!?じゃあ、四季の森どころか暫くは会えないじゃない!」
「し、仕方ないだろっ!仕事なんだから!」
「・・・じゃあ、私がタスマニカに遊びに行こうかな♪折角だから長居したいわ!ランディの家はレムリアン城にあるの?」
「うん、そうだけど?」
「一度見てみたいし、暫く泊めてね♪」
「うん・・・・て、僕の部屋に?」
「そうよ」
「えぇぇぇ!?それはまずいだろ!!!!」
「どうして?昔はよく三人で寝てたじゃない!しかも今は晴れて恋人同士よ、何にもまずくないじゃない」
「なおまずいってば!」
「ふふ、ランディ顔真っ赤よ」
「うるさいなぁ、とにかく絶対駄目だから!他の部屋を用意する」
「ちぇっ、ケチ!」